多摩市水辺の生き物調査の記録

多摩市水辺の生き物調査の記録 ■ よみがえれ、大栗川を楽しむ会

2016年4月10日多摩市を流れる農業用水「一ノ宮用水」の調査データを表に追加しました。

多摩市水辺の生き物調査の記録(西田レポート 2016年5月現在)

pdfで全体を見る場合はこちらをクリック(但し2015年12月現在のデータです)

多摩市の水辺には,多摩丘陵の谷戸の湧き水を水源とする小河川,それらが注ぎ込む大栗川・乞田川および,多摩川があります。また人間がつくった水辺として,谷戸田の水源として造成されたため池をもとにしてつくった池,田んぼへの灌漑のための一ノ宮用水があります。
以下の表はこれまで多摩市の水辺で行われた観察会・調査において採集された水生生物を記録したものです。地点別に比べながら多摩市の水辺や水生生物について解説していきます。

注意:表の説明表の右側と下側のスクロール・バーを動かして、ご覧ください。
注意:この表はJavascriptで生成していますので表示されるまで時間がかかる場合があります。

何も印が無い空欄は『採集できなかった』を意味します。
採集できましたの印は『取れました』を意味します。
たくさん採れました
の印は『たくさん取れました』を意味します。(めやす:20個体以上)を表しています。

場所 大栗川 豊ヶ丘公園 乞田川 一ノ宮用水
交通公園前 園内池 多摩センタ
駅前
ふれあい
広場前
ふれあい
広場前
ふれあい
広場前
ふれあい
広場前
ふれあい
広場前
小暮邸
田んぼ周辺
真明寺北 真明寺北 真明寺北 真明寺北 真明寺北 真明寺北 真明寺北
年月日 2008年 2008年 2010年 2011年 2012年 2012年 2013年 2014年 2014年 2015年 2015年 2010年 2014年 2009年 2010年 2012年 2013年 2014年 2015年 2013年 2013年 2014年 2014年 2014年 2015年 2015年 2015年 2016年
10月3日 11月6日 8月22日 6月5日 6月3日 8月26日 10月6日 6月1日 10月5日 5月31日 10月3日 6月17日 予定 9月5日 9月4日 9月3日 9月1日 8月31日 8月31日 6月30日 11月16日 4月26日 9月27日 11月16日 4月29日 9月21日 11月23日 4月10日
分類 種類名(地方
名)・備考
行事名 連小総合
学習
連小総合
学習
子どもと
大人の自然
体験活動
川の
生き物
観察会
川の
生き物
観察会
川の
生き物
調査
環境学習
セミナー
川の
生き物
観察会
環境学習
セミナー
中止
川の生物
観察会
川の生き
物調査
多摩市調査 乞田川で
魚つかみ
どりだ!
がさがさ
乞田川!
乞田川
探検隊
あつまれ!
乞田川
生きもの
調査
乞田川
生きもの
調査
護岸工事後
の川の生き
物調査
護岸工事後
の川の生き
物調査
護岸工事後
の川の生き
物調査
護岸工事後
の生き
物調査
護岸工事後
物調査
護岸工事後
の生き物
調査
護岸工事後
の生き物
調査
魚類 カワムツ 国内外来種 yes yes yes yes many yes many yes yes yes yes yes
オイカワ(ヤマベ) many many yes many many yes yes yes many yes many yes many many yes many
ウグイ(ハヤ) yes
アブラハヤ(バカッパヤ) 絶滅危惧種(都) yes yes yes many yes many many yes many
モツゴ(クチボソ) yes many yes yes many many yes yes yes many yes
ムギツク 国内外来種 yes
タモロコ 国内外来種? yes yes yes yes yes yes yes yes many yes yes many many yes
カマツカ 絶滅危惧種(都) yes yes yes yes yes yes yes yes yes
ニゴイ 絶滅危惧種(都) yes many
コイ yes yes many yes many many yes yes yes
ギンブナ yes yes yes many many many yes many many yes
フナ属 yes yes yes
ドジョウ 国・ 情報不足種 many yes yes yes yes yes yes yes yes yes many yes yes yes yes yes many many many many many many many
ヒガシシマドジョウ 絶滅危惧種(都) yes yes yes yes yes yes yes yes yes yes
メダカ 絶滅危惧種(国,都) yes yes yes yes many yes yes many yes
ナマズ yes yes
ギバチ 絶滅危惧種(国) yes
コクチバス 国外外来種 yes yes
ブルーギル 国外外来種 yes
クロダハゼ yes yes yes yes yes yes yes yes yes many many yes yes many many many yes
ジュズカケハゼ 絶滅危惧種(国,都) yes yes yes yes yes
ウキゴリ属 yes yes
ヌマムツ 国内外来種 yes
水生
昆虫
底生
動物
など
コヤマトンボ yes yes yes yes yes yes yes yes yes yes yes yes yes
コオニヤンマ yes yes yes yes yes yes yes yes yes
ハグロトンボ yes many many many yes yes yes yes many yes
シオカラトンボ yes yes yes yes yes yes yes many many many many many
アカネ属 yes yes yes yes yes
アジアイトトンボ yes yes
ダビドサナエ? yes yes yes
ホンサナエ 都(南多摩)準絶滅危惧種 yes yes yes yes
サナエトンボ科 yes yes yes yes
ガガンボ類 yes yes
ヒラタドロムシ yes yes
モンキマメゲンゴロウ属 yes yes
ゲンゴロウ類 yes
ガムシ類 yes
マツモムシ yes yes
タイコウチ 絶滅危惧種(都) yes
カゲロウ類 yes
ミズムシ yes yes
ナミアメンボ yes yes yes yes yes yes many yes yes yes yes yes yes
ヌマエビ類 many many many many many many many many many many yes yes many many many many yes many many many many many many many
ミゾレヌマエビ 国内外来種 yes
テナガエビ yes
スジエビ yes yes
アメリカザリガニ 国外外来種 yes yes yes yes yes yes yes yes yes yes yes yes yes many many many many yes many many
モクズガニ yes
ホウネンエビ yes
ヨコエビ yes
カワニナ類 yes yes yes yes yes yes yes yes yes yes
モノアラガイ類 yes yes yes
シジミ類 yes yes yes yes yes yes yes
サカマキガイ 国外外来種 yes yes
ヒル類 yes yes yes yes yes yes
シマイシビル yes
ウズムシ類 yes
爬虫
ミシシッピアカミミガメ 国外外来種 yes
スッポン yes
両生
ウシガエル 国外外来種 yes yes yes
二ホンアマガエル yes yes
トウキョウダルマガエル 絶滅危惧種(国,都) yes yes yes
調査・観察会
当日のメモ
水温:本流
22.8℃
ワンド
27.8℃
ウシガエル
とシュレー
ゲルアオガ
エルの鳴き
声確認,オ
オクチバス
を目視確認
水温:本流
22.8℃
伏流水
17.9℃
シュレ-ゲル
アオガエル
鳴き声確認
区間内のワ
ンドはほと
んど消失
水温本流
右,中,左
30.3℃
採捕者は
10人程度
ウシガエ
ルは幼生
水温:本流
22.7℃
ワンド
23.6℃
ウシガエ
ルは成体
水温:本流
23.7℃
下流ワンド
31.0℃,
COD2,
EC0.55?
下流ワンド
は本流から
離れる
ヌマエビ類
はカワリヌ
マエビ属
(外来種と
同定)
台風
のため
中止
水温:
本流24.4℃
水質:昨年
同時期と
同じ。
水温:本流
21.4℃
水質:
昨年同時
期と同じ。
前日の降雨
で流量多
投網
トアミ
かご網
タモ網
使用
悪天候
のため
中止
スタッフ
のみ
で実施
水温22℃
pH7,
DO7
COD6,
透視度
50cm以上
水深
21.5cm
(中心)川幅
432cm 流速遅い
川の形直
線, アシ等
が多くの場
所にある
ヌマエビ類
はカワリヌ
マエビ属
(外 来種)
と同定
当日天候:
雨天水温:
21.4℃
水質:
一般的な
河川中流
域の値
記録には
田んぼの
中で採集
されたも
のも含む
二ホンア
マガエル
は幼生
水温
13.8℃
水温19.0℃
ヌマエビ科
はカワリヌ
エビ属
(外来種,
シジミ類は
タイワンシ
ジミと同定.
トウキョウ
ダルマガエ
ルは幼体
水温:
20.4℃
水質
pH:8.3
DO:
11.1mg/
EC:
0.21mS/cm
アジアイ
トトンボ
のヤゴは
今回の調
査で初め
て記録
水温:
14.1℃
水質は
pH:8.0
DO:
10.6mg/
EC:
0.27mS/cm
カワムツ
は今回が
初めて
捕獲記録
速報用
の仮データ
です。
水温:
23.4℃
pH:8.7
DO:12.2㎎/L
クロダハゼ
とサカマ
キガイは
今回の調
査で初め
て確認
速報用
の仮データ
水質計など
機材に故障
があり
精査中
沈水植物の
コカナダモ
繁殖が低下
カゲロウ類
項を追加
ヨコエビ類
の項を追加
14個体を採集
しました

種類名に表示しているイメージは『東京の川 川のフィールドブック』(平成21年度登録第20号 東京都建設局河川部計画課)から転記しました。

大栗川

大栗川では最も多くの種類の生きものが採集されています。カマツカ,アブラハヤ,ヒガシシマドジョウなど砂礫底に生息・繁殖する生き物が特徴的です。また特に着目すべきは,この地点においてのみ環境省が絶滅危惧種に指定するジュズカケハゼが採集されていることです.ただし,近年は採集の記録がなくなっており減少している可能性があります。また、近年は特定外来生物に指定されているコクチバスが採集されています.このことはジュズカケハゼが採集されなくなったこと、と関係があるかもしれません。

(注)2014年に発表された論文 『2014年6月大栗川生き物調査・観察会報告』をPDFで参照できます。
(注)2015年に発表された論文  151015_15年10月大栗川生き物調査・観察会速報 をPDFで参照できます。

乞田川

乞田川では大栗川に比べるとかなり種類が少ないことが分かります。この理由として,乞田川はコンクリートで護岸され,河床も連接ブロックが敷かれているためであることが考えられます.モツゴやトウヨシノボリは連接ブロックやその間の石の隙間に卵を産み付けることができるので,このような場所でも生息が可能なようです。

(注)2015年に発表された論文  150925_15年8月乞田川生き物調査・観察会速報 をPDFで参照できます。

一ノ宮用水

種類は多くありませんが,ドジョウやギンブナなど農業水路に特有の生きものが生息しています。 これらの魚は水路とつながっている田んぼを繁殖・成長の場として,流れが緩やかな水路を生息の場として利用することで個体群を維持していると考えられます。これらの魚類と同様,田んぼで繁殖する絶滅危惧種であるトウキョウダルマガエルの生息も確認されています。また,ここには記録がありませんが,多摩丘陵の谷戸田域の小河川・農業水路には,絶滅危惧種のホトケドジョウがいることがあります.湧き水を水源とする谷戸の小河川・水路では水温が低く保たれるため,冷水性のホトケドジョウの生息に適しています。

(注)2013年に発表された論文『2013年11月一ノ宮用水における改修前の水生生物の調査報告』をPDFで参照できますす。
(注)2014年に発表された論文『2014年4月一ノ宮用水における改修後の水生生物の調査報告』をPDFで参照できます。
(注)2014年に発表された論文『2014年9月 一ノ 宮用水における改修後の水生生物の調査報告』をPDFで参照できます。
(注)2015年に発表された論文『2014年11月 一ノ 宮用水改修後の水生生物の調査報告』は2013年改修前の調査から1年を経過した同じ季節である2014年11月16日に観察を実施したものです。
(注)2015年4月29日に実施した護岸工事後第5回目の一ノ 宮用水改修後の水生生物の調査の速報です。生息する水生生物相の把握と、これまでに行われた水路改修が生き物と水路環境に与える影響の調査を実施しました。
(注)2015年9月21日に実施した151004 _第6回一ノ宮用水生きもの調査速報です。生息する水生生物相の把握と、これまでに行われた水路改修が生き物と水路環境に与える影響の調査を実施しました。
(注)2015年11月23日に実施した151129 _第7回一ノ宮用水生きもの調査速報です。生息する水生生物相の把握と、これまでに行われた水路改修が生き物と水路環境に与える影響の調査を実施しました。
(注)2016年4月10日に実施した160420 _第8回一ノ宮用水生きもの調査速報です。当日、午後に一ノ宮用水において, 1)生息する水生生物相,2) これまでに行われた水路改修が生き物と水路環境に与える影響,の把握を目的に, 13 名によって調査を行いました。

公園内の池

種類は多くありませんが,止水にすむモツゴや,トウヨシノボリなど,ため池に特有の生きものが生息しています。一方,ミシシッピアカミミガメやブルーギルなどの外来種が持ち込まれていることも多く,在来種への影響が懸念されます。


これまで市民の皆さんと多摩市役所が協力して調査を行ってきた結果,大栗川や乞田川では生きものの生息状況が分かりつつありますが,農業水路や田んぼ,丘陵地の池などより身近な水辺の調査は十分ではありません。 多摩市の生態系を総合的に理解し,人と生きものの共存する社会を実現していくために,引き続き生きもの調査を続けていただければ幸いです。

西田一也 東京農工大学非常勤講師